中川信夫監督の『牡丹燈籠』、素晴らしかった。
原作の、幽霊との恋愛はそこそこに、ひたすら悪党たちの欲得の世界を追っておいて、最後にぽっかりと死(者)の世界が口を開ける。「怪談累ヶ渕」とかなり近い。
機械仕掛けのように欲と陰謀と因果が重なり合い、最後には虚無だけが待っている。
金井由美のピントが開放なのか、ソフトフォーカスか、御簾を通したようなアップが妖しい。
小さなセットを使い切っている。