密かな殺意が現実の可能性となって目の前に与えられる。そのときぼんやりしていた殺意がはっきりとした形を取り、自分の中にあったものに気づく。その機会を受け入れたとき、男の中で何かが変わる。

ある男の死の目撃者とするために、一人の男が選ばれた。呼び出され、赴くと、自分を呼び出した当の男が死んでいるのを発見する。彼宛ての遺言が残されている。

日本春歌考
大島渚監督
歌と歌とがぶつかり合う。死んだ教師の意思?を、彼の歌った春歌を歌うことで引き継ぐ。
小さな、密かな殺意が現実の可能性となって目の前に顕れる。寺山修司に似た赤木一郎が教師を見殺しにしたとき、ただの高校生から別の存在に変容する。体つきまで変わったように見える。

アメリカの友人
何度見たか。中古DVDを見つけたので買う。
ブルーノ・ガンツが殺人のために空港に向かい、エスカレーターで前方の男が倒れるのを見る。それはブルーノ・ガンツ自身の分身であり、次に、主観ショットのカメラが近づいてゆくと、ブルーノ・ガンツ自身が寝ているカットにつながる。この主観ショットは誰の主観か。それは分離したブルーノ・ガンツの主観であり、この時からブルーノ・ガンツは別の存在に変容している。
ハイスミスの「変身の恐怖」は映画化権が買い取られているらしいが、いつの日か映画になるのだろうか。