2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

恋人たちは濡れた(神代辰巳)、シネマアートン下北沢。 絵沢萌子と寝て、トンネルを抜ける、その時から別の世界への参入が始まる。

20060530

映画の細部。ディテイル。 エキストラ一人ひとりに、その役のキャラクター、背景を聞いて回ったという加藤泰、実生活の会話を映画に使用するトリュフォー、脚本を依田義賢が書く前に、舞台となる遊郭で実際に生活させた溝口健二のことなど。

20060529

時間が空いたのでギンレイホールで『ある子供』(ダルデンヌ兄弟)を見たが、自分とは縁のない映画だった。 ある構造、悪循環、悲劇的な状況を描くというのはいいが、すべてが説明の羅列に見えてしまう。リアルに見える、ということの意味の違いを感じる。 …

『青春の蹉跌』『アフリカの光』(神代辰巳)、シネマアートン下北沢。 『青春の蹉跌』の陰鬱さと『アフリカの光』のやけっぱちの明るさは、虚無の現れ方の表と裏のように思える。 しかし『アフリカの光』の世界の果ての感覚とユートピアの感覚の混在、人と…

ポレポレ東中野で加藤泰オールナイト。1本目見逃す。2本目『日本侠花伝』すごかった。真木洋子。 海への落下のイメージ。夜の船の船室と甲板。米騒動。拷問の後、家に帰らずいきなり、渡哲也の潜伏先に行くところ。その、渡哲也の潜伏する韓国人の屋根裏。

Mr.ジレンマン 色情狂い(小沼勝)、シネマヴェーラ。 笑ったが、映画終わった時にどっと疲れる。東京乾電池の面々の馬鹿ぶりを、もっと引いた位置からクールに撮ってほしかった。小川亜佐美の美しさは素晴らしい。 ■ 夜汽車の女(田中登)、ラピュタ阿佐ヶ…

好天。印刷所から出てきたばかりの校正紙に顔を近づけると、西瓜の匂いがした。インクの匂い。 ■ 「爆撃機の眼」を見る。フィクション映画とリアリティについてまた考えさせられる。世界の捉え方、物語の進め方、人間の捉え方、カメラ・映像をリアリティに近…

嗚呼!女たち猥歌(神代辰巳)、シネマアートン 何度見ても素晴らしい。 血を舐める中村れい子の表情。内田裕也の魂の抜けた、器のような、空ろな顔。 首を絞めることが、一方ではエロスを通じて生きることに、他方ではエロスを経由できず死に向かうこと。プ…

井土紀州氏のシナリオ講義。シナリオと演出とドラマの関係。 東京物語、大坂志郎のアパートに干されている野球ユニフォームは、シナリオにはない。 浮雲の森雅之の眼帯はシナリオにはない。 Wの悲劇の名セリフは現場で生成された。 さらば夏の光よというプ…

打ち合わせがあったのをまた忘れてしまう。忘れてばかりいる。 ■ 遠くの空で、黒い雲が蛇のようにとぐろを巻いていくのが見える。 庭の裏側のトタンがばたばた鳴り、悪い風がやって来ていることを知らせた。

日曜日で、久しぶりに天気も晴れて気持ちよく、洗濯して、バイクで酒を買い込んで、昼間から家でビールを飲んでいたら急に気持ちが落ち込んできて、どうしようもなく暗い気持ちになる。 そのまま加藤泰の「幕末残酷物語」とエリックロメールの「モード家の一…

五番町夕霧楼(田坂具隆)、三百人劇場 やや長い。夕霧楼の構造魅力的。 夕子の部屋に明かりがついていない、開けてみると布団で眠っている、という奇妙な場面あたりから話が妙に崩れておかしな方向にドライブし始める。 正純のセリフの意味はなんだったのか…

玉割り人ゆき(牧口雄二)、シネマヴェーラ きちんとできたお話にきちんとした演出。やや堅苦しい。 ■ 壇ノ浦夜枕合戦記(神代辰巳)、シネマアートン下北沢 少し長い。

フィクション映画と現実、リアリティの関係。 デプレシャンの「そして僕は恋をする」を前半だけ。 人物に対する意地の悪い描き方と、目まぐるしく変わるカメラと、つなぎにくらくらする。 複数台のカメラでは撮れない位置なので、何テイクも、カメラの位置と…

20060517

Gulag orkestar/beirut 久しぶりに新譜で、がんと来る。 ジプシー音楽が洗練されつつ、ヨーロッパ産のものが概ね音がクリアすぎるのに比べ、音のざらつきがしっかり残されているのは、ヒップホップの国アメリカだからなのか、しかしアメリカからこんな音楽が…

授業で、昨年の高等科の「ちえみちゃんとこっくんぱっちょ」を見る。 見るの2度目だが、シナリオも映画も端正で繊細で、うまいなあと感心する。エッセイのような日常のスケッチのような、身近な人についての、女の人のおしゃべりを映画で見ているような感じ…

20060515

「女地獄 森は濡れた」(神代辰巳)、シネマアートン。 怪作と思う。何度か気が遠くなった。 山谷初男の、新しいおもちゃで遊ぶ子供のような表情と、生と性に倦み果てたような退屈しきった倦怠の表情が、交互に現れるのがとてもいい。それがストーリー上でな…

20060514

暖春(中村登)、ラピュタ阿佐ヶ谷。 里見とんと小津安二郎が残した原作の映画化だそうだ。 小津でおなじみの場面と話の進みだが、悪い意味で、人のえげつなさ、品のなさが際立って見える。かといって、小津の映画ほど、それがはっきりと示されているという…

下北沢シネマアートンで「一条さゆり 濡れた欲情」(神代辰巳)を見たが、宝石のような映画だった。 ほとんどプロットらしいプロットもなく、単純で適当でばらばらな映画のように見えるのだが、魔法がかかったように面白く、深いところにある伊佐山ひろ子の…

ピンクサロン好色五人女(田中登)、ラピュタ阿佐ヶ谷。 死生観と厭世観と彼方への憧れがにじみ出た、サイケデリックロックのような傑作だった。 走り出すまでにもっと女たちが追い込まれててもいいんじゃないかとか、店長と手配師をはじめとする店の男たち…

20060511

神代辰巳の映画で、人と人のつながりを、例えば嫉妬というものが阻害することの悲哀と、それを乗り越えたところのユートピア、所有欲などを乗り越えた共同体の可能性への志向を感じるのだが、なみおか映画祭のパンフレットによれば、いくつかの映画の脚本を…

20060510

ヴァニラ画廊で作場知生展。 20×20×15センチ程度の小さな箱の中に、部屋がある。部屋の片隅に、奇妙な、ハンスベルメールの作ったようなオブジェが横たわっている。裸電球がオブジェを密かに照らしている。犯罪現場のような小さな部屋たちが、カタログ…

20060509

井土紀州氏のシナリオ講義。役柄を割り振ってシナリオを音読。 中心にいる不在者、というのはずっと考えていることで、勉強になった。 「東京物語」を支えているその中心にいるのは戦死した、映画には映ることのない息子であることなど。 家で東京暮色のシナ…

20060508

7、8人くらいの知人たちをぞろぞろ引き連れて、坂の上の自宅に向かうが、そこに至る道がわからない。よく使っている道なのに、どれがその道なのかわからなくなっている。自宅の隣にある大きなマンションが、上の方にそびえているのだけど、どの道を歩いて…

「かぶりつき人生」「濡れた唇」(神代辰巳)、下北沢シネマアートンで見る。 デビュー作であるかぶりつき人生は普通の青春映画のようで、イメージする神代らしさというものはほとんど見られず、硬くて自分にはあまり面白いとはいえず、前半と後半が別の映画…

神代辰巳特集が始まった。今日は「浪華悲歌」と「祇園の姉妹」を新文芸座で見る。 浪華悲歌は、もう何度も見ているせいか、思っていたより穴が多いように見えた。 冒頭の電話交換室の場面、山田五十鈴の最初のカット、新式の妾家のような集合住宅(パンショ…

朝から家で「蜘蛛の瞳」と「ビリーザキッド 21歳の生涯」を見てジェイムスコバーンと哀川翔の疲労が乗り移ったようで、何もする気が起きなくなる。

家で「噛む女」(神代辰巳)。 「恋文」同様、(婚姻)制度と個人の軋轢を正面から扱って、大変ヘビーなテーマでありながら、面白く見られてしまう。重苦しい会話も軽やかに、遊戯的に見せていくというのが素晴らしい。

20060503

「沓掛時次郎 遊侠一匹」「陰獣」(加藤泰)、シネマヴェーラ。 遊侠一匹は前半良かったが、後半は話がちょっと安っぽくなるように感じた。 最後の喧嘩の後で女の元に帰るその時の中村錦之助の、あまりにさわやかな表情に違和感を覚える。もっと疲れ果て、血…