2006-01-01から1年間の記事一覧

吉岡実「薬玉」「ムーンドロップ」の面白さに突然気がつく。

復刊された「水の女 溟き水より」のたくさんのオフィーリア、「二人、あるいは国境の歌」(守中高明)など。 「フロイト全集17」など買う。

「ヴィオランタ」は素晴らしかった。今年一番印象的かも知れない。「天使の影」はファスビンダー色が強く、モノローグの多さに疲れる。警視総監がぐちるシーン、背中を向けたイングリッドカーフェンにカメラがゆっくり前進し、彼女が振り向くアップまでの1…

(恐らく)存在しない溝口健二のサイレント映画を、夢で見る。1人の武士が高い木々の狭間の小道を歩いていて、はたと立ち止まり、これまで正しいと思っていたことは全て間違っていたと気づくシーンだけ覚えている。

「シネマ2」(ドゥルーズ)「モーゼと一神教」(フロイト)「日本人の異界観」など購入。 鈴木清順特集全く見に行けない。

「ラ・パロマ」見直す。骨壷はしっかり映っていたが、骨壷に見えない。 「折鶴お千」原作の「売色鴨南蛮」(泉鏡花)読む。映画のほうがかなり膨らましている。そのため、映画の最後が小説と同じなのが歪みになって現れている。

「カンヌ映画通り」踊るキーラ・ニジンスキーの美しさとグロテスク。夢見るような表情。「トスカの接吻」と同じ。

「恋人たちの時刻」冒頭とその次で2人のキャラクターがまったく変わるのが面白い。いきなり走り出し鐘を鳴らす所など。

「折鶴お千」(溝口健二監督)、回想の奇妙な映画。山田五十鈴壮絶綺麗。主人公の17歳には苦笑。

「ラ・パロマ」原作の「スタニスラワ・ダスプの遺言」(エーヴェルス)を読んだが、ポオが書いたかのような死臭ぷんぷんするシニカルな怪奇話だった。「ラ・パロマ」の最後にやや物足りなさを感じたのは骨壷が映らなかったからではないかとふと思う。

人物が誰かに語りかける、そこから回想の形で映画が進む時、人称の問題が気になる。語っている人物がいる以上、画面にはその人物がいるか、またはその人物が見た場面でないとおかしくなる。その人物が存在したはずのない場面であれば、「〜だと誰それに聞い…

「ヘカテ」「トスカの接吻」「書かれた顔」「ベレジーナ」(ダニエル・シュミット) 艶やかでグロテスクな老人達。

あるメッセージを、発した人の意図を越えて受け取ること。そこに含まれている本当の秘密のメッセージを、発した者よりも「正しく」読み取ること。 「片目だけの恋」の少女は、男が深くは考えずに発したであろう言葉を、愛の言葉として「正しく」受け取る。男…

「ラ・パロマ」完璧と思う。墓場のシーンは少しだけ物足りないが。「昼顔」の夢オチは必然性が今ひとつわからないが、この映画と「飾り窓の女」では主人公のファンタスムが明確になる。明日はダニエルシュミットオールナイト。

ノーマンブラウン「ラヴズ・ボディ」をぱらぱら見る。 「この洞窟は墓である。この子宮は墓穴である。われわれはまだ生まれていない。われわれは死んだままである。まだ生まれていない子供たちの魂は死んだ祖先たちの魂である。こうした考えの根底には、化身…

泉鏡花「幻往来」を読んでいると、仕事先のすぐそばの辺りが出てくる。寺は今もあるし、坂の名前も同じで、警察署も同じ場所にある。「豊国の前を通って」とあってなにかと思ったら昔流行った牛鍋屋らしい。今は自動車がひっきりなしに通る坂道を、「幻往来…

京橋の映画美学校の上映会で5本の映画を見て、どれも素晴らしく面白かったが、最後の「西みがき」に深く打たれた。今でも思い出して震えるような気持ちになる。 小津の「晩春」を見るといつも、「その後」のことが気になる。あの原節子の結婚生活はおそらく…

だいぶ前、写真展をやったことのあるギャラリーから、毎週、写真展お知らせのダイレクトメールが届く。帰宅し、ポストに溜まったチラシの束を捨てようと手に取った下に一枚、そのお知らせの葉書が残っていた。チラシと一緒にごみ箱に投げ入れる前にちらと見…

「百年恋歌」 あらゆる瞬間が美しく、哀しく、はかない。スーチーの全ての瞬間が、かげなえなく美しい。現代の悲痛さが、過去のたあいないといえばたあいない2つの物語ともいえない断片によって、際立つ。逆に現代編が終わった時、シンプルきわまりない最初…

「銃撃」(モンテヘルマン監督)、奇妙な映画だった。時間の飛ばし方、つなぎ方がとてもよく、微妙な人間関係などかなり面白いが、やや物足りなかった。簡素な中に謎を孕んでいくのはとても好きだが、情報量削りすぎたか、ウォーレンオーツと女の間にもう少…

「ブラックダリア」(B.デパルマ監督) 昨夜、粕谷栄市の「化体」を読んで記憶に残っていた。 「今更、言うまでもないことだが、死んだ魂の記憶の世界では、どんなことでも起こりうるのだ。もちろん、その街で、非常に孤独に日々を過ごしている男の、何かに…

「ぽんこつ」(瀬川昌治監督)、見ることがそのまま幸福な映画だった。

「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」を見た。物足りない場面もあるが、最近のアメリカ映画で一番良かったかも知れない。乾いた叙情にペキンパーを思う。ストーリーはファンルルフォの短編を想起させる。死体が映る場面が出色。最後にもう一度見せて…

女と寝る夢を見た。 薄暗いベッドの上で自分は横になって女を見ている。そばで全部脱いだ女がなにかするために部屋の奥に向かう。その時、お尻が真っ赤に輝いている。ステンドグラスのように赤く塗られた窓から朝日が射し込んで、ちょうどそこに当たっている…

「モダン・パラダイス」(国立近代美術館)に行く。 「亡霊」ということばかり気になっているので、得体の知れないものが出てきそうな気配をはらんだものにしか注意が向かない。デ・クーニング「風景の中の女」、吉田克朗「触」、小出楢重「ラッパを持てる少…

「吉屋信子集 生霊ー文豪怪談傑作選」「鬼火/底の抜けた柄杓(吉屋信子作品集)」読む。しんしんとした気持ちになる。「生霊」「生死」「鬼火」「童貞女昇天」など。()の奇妙な使い方。

「レディインザウォーター」を見た。 ロードオブザリングが長い時間とスペクタクルで見せたものを、短時間で、低予算で、現代で、全てを1つのアパートメントでやろうとする試みはうまくいっていて、ファンタジーが、現実に疲れた人間が夢見てしまう、理想の…

「淑やかな悪夢」、「魔の系譜」(谷川健一)、「吸血鬼幻想」(種村季弘)など読む。「淑やかな悪夢」は「黄色い壁紙」「証拠の性質」が良かった。

「冷血」(リチャードブルックス監督)をDVDで見た。 たんたんと出来事が積み重なるのが不気味で、歯車の音が聞こえてくるような気がする。ロバートブレイクの家族の記憶の現れ方が素晴らしく、目に見えない亡霊が画面を漂っているような気がしてくる。殺戮…

「オトシモノ」(古澤健監督)を見た。 スローモーションの使い方、ビデオに映る影、遺失物保管室、トンネルなど、いい所もあったが全体には残念だった。中盤までの展開の早さはよかったが、中盤から失速し、取ってつけたような友情場面は退屈、大事な時に繰…