あるメッセージを、発した人の意図を越えて受け取ること。そこに含まれている本当の秘密のメッセージを、発した者よりも「正しく」読み取ること。
「片目だけの恋」の少女は、男が深くは考えずに発したであろう言葉を、愛の言葉として「正しく」受け取る。男の書棚の本たちは彼女に対する欲望の顕われとなる。「ダムドファイル テレビ局第3章」のディレクターはかつての後輩が書いた小説を、真実を解き明かす秘密として受け取る。「西みがき」のゆきこは、弟のダイイングメッセージ(ビデオ)の意味を、弟の意識を越えて「正しく」読み取る。発した弟はのほうはその意味を捉え損なっているのに、「三本足のリカちゃん」とは、弟にとってそうあるべきだった自分(または母)のことであることを読み取り、実現しようとする。そうあるはずだったのに、そうはならなかった歴史をやり直そうとする。