2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

20060430

ブロークンフラワーズ(ジムジャームッシュ)は、いつも通りの面白さと物足りなさ。 デッドマン、ゴーストドッグから連なる、死の手前の人間の話で、年老いて、人生が虚しくなっているドンファンというのは、ジムジャームッシュ自身が投影されてるのではない…

「車夫遊侠伝 喧嘩辰」「怪談 お岩の亡霊」(加藤泰)を見る。渋谷シネマヴェーラ。 「お岩の亡霊」の伊右衛門の仮借ない悪人ぶりにめまいがする。冒頭ですでに我を失っている伊右衛門のうつろな目。女を愛せない男は、それはもう人ではない、というかのよう…

ワタリウム美術館で「夢の中からみつけた街」写真展。 ダイアンアーバスのプリントが4枚見られる。あとはメイプルソープ、ロバートフランク、ザンダー、アンディウォーホール、マンレイなど。 好きだったロバートフランクやデュアンマイケルズの内省的、個…

お昼、根津あたりを歩く。根津神社はつつじまつり。ムルアカ氏が町の小さな時計屋に入るのを見る。店の中で窮屈そうに腕時計の電池を換えてもらってた。 □ 古本屋でフーコー「性の歴史」三冊揃。 ■ 「傷だらけの天使」の神代辰巳監督の回(第4話)を見る。…

ツァイトフォトサロンで進藤万里子さんの写真展。ぐっと来た。たくさん見ているわけではないが、そういうのは、最近の写真ではほとんどないことで、唯一といってもいい。ただ前回と比べ、抽象と具象の間で、抽象のほうに少し進んでいて、ここがぎりぎりのよ…

扉の影の秘密(フリッツラング)をDVDで見る。 ヒッチコックのレベッカが白い恐怖に転調するような感じだが、ヒッチコックのようには映画の流れがすっきりしてなくて、そのすっきりしない曖昧な感じがいいと思う。 ナレーションがよくて、話者が入れ替わ…

広口で背の低い、ガラス瓶に水が張ってあり、その底に小さな生き物たちが飼われている。顔を近づけて見ると、その生き物は小指の先ほどの、小さな牛たちで、脚を折り曲げて休んでいるもの、水底をゆっくり泳ぐように歩いているものなど沢山おり、かわいらし…

エロスの彼方の世界―サド侯爵/オクタビオパス(土曜美術社) 狂気の愛/アンドレブルトン(思潮社)など。 「人間は幻影のあいだで生きている。そして、それを自分の血で養っていくように宣告されている。なぜなら人間自身幻影であるからだ。ただ自分の欲望…

渋谷シネマヴェーラで「炎のごとく」と「明治侠客伝 三代目襲名」(加藤泰)を見る。 炎のごとくは、第一部がとくに面白かった。加藤泰の女性崇拝というかマザコンというか、母性を求めてやまない心が爆発していた。冒頭の5分くらいの飛ばしまくった編集か…

蟲たちの家(黒沢清)を見た。藪の中式で、事実が四人四通りに分断されて事実は見えぬまま進行する語りは洗練されていていいなあと思う。映画自体は割と無難で、職人のように、いつものやり方で滞りなく進むという感じで、特に驚くような所はなかった。CG で…

風邪が治らない。 ■ 恋文(神代辰巳)を見た。家族に対するまなざしが温かいのにやや驚くが、普通にとても面白かった。敵である女同士に生まれる友情。萩原健一の泣き笑いの笑顔は、意外な場面で見られるので目に焼きつく。割と普通に進み、唐突なびっくりす…

20060417

夢の話だが、女が近所の、たまに使うが少し不吉な感じのする薄暗い細い路地を歩いていると、向こうから若い男が歩いてくる。薄暗くて顔はよく見えないが、すれ違うとき、「別れの一本杉」を歌っているのが聞こえた。そこで目が覚めて、あれは死んだ父親だっ…

悶絶!!どんでん返し(神代辰巳)をDVDで見て、面白くてたまらなかった。来月下北沢で上映がある。 鶴岡修がヘテロ/ホモを超えていき、レズビアンの女に「お姉様」と言わせながら、男としてセックスする場面が最高。しかしそのまま化け物じみていき、皆…

塩田監督の映画授業。 騎兵隊(ジョンフォード)を見る。本当に素晴らしい。複数の感情、悲惨さとユーモアが同時に存在していること。全ての人間に言い分があること。そこに答えはないが個人と個人の間には理解と愛、または許容がありうること。少年兵たちの…

ヨロヨロとリーラジェイムスのライブ。去年のファーストアルバムがよかった。 子供の頃から歌うのが大好き、ソウルとファンクが大好きという感じで、昔のヒット曲を間に挟みながら進み、今は何年なのかと思う、本人もソウルトレインを東京に再現するわよ、み…

風邪で会社休む。 粕谷栄市「悪霊」。ダイアン・アーバスに捧げられた「悦びについて」など。 三人称の、自分が出てこない夢を見る。

木乃伊の恋(鈴木清順) 口述筆記というのは魅力的。時代編、最初に鈴の鳴る音は主人公しか聞こえていない。最後の10分くらい、妄想が伝播し、幻想が現実になる。 ■ 棒の哀しみ(神代辰巳) 恋人たちは濡れた、で死に損なった主人公の20年後の話なのか、…

食うのが楽しみの両親に二晩付き合って消耗する。うまい豆腐でもあれば十分じゃないかと思うのだが、牛肉の固まりを濃い味付けで、乳脂肪分もどっさり添加して食べないと贅沢した気がしないらしい。酒も飲まないからたちが悪い。盛大な食い物に傾ける情熱に…

両親が東京に来て、2年くらいぶりに一緒に飯を食う。 □ カフカの父親は一代で財を成した成金で、その頃、そういう新興中産階級のユダヤ人がプラハに増えていたらしい。その父親はもちろん立身出世主義者で、金儲けに余念がなく、それを幼少から見ていたカフ…

ハスラー(ロバートロッセン) DVDが1000円そこそこだった。買って久しぶりに見る。 主要な三人の過去はほとんど語られないのだが、それぞれが過去を引きずっていて、三人の間でその傷が再現され、あるいは過去の失敗を取り返そうとしているように見えて…

亡霊怪猫屋敷(中川信夫)、ラピュタ阿佐ヶ谷 殺す男と殺される男が碁を指す場面は面白くなりそうだったが割とあっさりで、殺す男の母親が非常に重要な気がするのだが、やはりおざなりで、息子と面と向かって母子の関係が示されることもなく、母親が息子にど…

母権制という言葉を簡単に使うが、実際は定義などまったくわかっておらず、今さら、自分にとって重要なことらしいと気づき、最低限のことくらいは知っておく必要があると感じる。 母権論(みすず書房)、バッハオーフェン論集成(世界書院)、グレート・マザ…

世界の構造(粕谷栄市) 前世にまでさかのぼっていく、夢の報告。 二人の兄弟の首を絞め、首のない父親が舞台を歩き回り、妻とともに水蓮になり、鯨と、または羊とつがう。母親が出てこないのが気にかかる。隠されている母。 「暗いながい陸橋、私には、そこで…

ラストデイズ(ガスヴァンサント)、シネマライズ 歩く後ろ姿の傾いた姿勢が、これまで生きてきた痛み、生き残ってまだ地上に存在している痛みを伝える。 その姿はどうみてもゾンビで、その、精神の死から肉体の死までの、ゾンビの時間を描写しているとも言…

今年から上野動物園でクマの冬眠が見られるらしい。短時間見ても、ただ単に寝てるだけじゃないのか、と思いつつ気になる。 ■ きしの先生の映画音楽論。「アタラント号」の水中の場面に涙。 ■ 「人形愛の精神分析」(藤田博史)面白い。 「文学作品と伝説にお…

やくざ観音 情女仁義(神代辰巳・脚本田中陽造) ここまでやっていいのだという、冒頭から現実を超えて神話として行われる因果応報。地獄めぐりは最後にいたっても、終わりを迎えさせてもらうことはかなわない。 絵沢萌子と岡崎次朗の朝の、絵沢萌子が歌う民…

「嗚呼!おんなたち猥歌」を再見。 内田裕也は、この世に生まれて来たことが、すでに挫折であるように見える。生まれてきてしまったのは仕方なく、ユートピアを求めてさまよっている。それは世界が一つの家族のようで、かつお互いの欲望が規制され合わない世…

20060401

はすみ先生の映画講義。映画史における帽子について。 都会ー地方を分ける表象としての帽子。人間の肉体の重さや固さという、身体の限界を乗り越えていくイメージを表象するものとしての、頭髪を覆うもの。という主に二つの観点から映画の抜粋を見る。 ■ 穴…