扉の影の秘密(フリッツラング)をDVDで見る。
ヒッチコックレベッカが白い恐怖に転調するような感じだが、ヒッチコックのようには映画の流れがすっきりしてなくて、そのすっきりしない曖昧な感じがいいと思う。
ナレーションがよくて、話者が入れ替わるのは面白いが、それが最大限には発揮されていないように感じる。
最後はフロイト的な精神分析の理屈そのままで、その単純さが逆に、それでいいのか、という変な余韻を残すのは「マーニー」に似ている。
1人で構わない姉と秘書がわざわざ分けられていたり、息子がいまいち話に絡んでこなかったり、恋のライバルの弁護士があまり役に立ってなかったりして未消化な感もあり、無駄に人物が増やされているように見え、ゴシックなムードと怪しさを盛り上げるためだけにいるようだが、変な感じはあるからそれでいいか、と思う。
合鍵1つでこれだけサスペンスできるのに感心する。
メキシコでの出会いは、まず呼び水として、(ブルトンがメキシコにはまったように)死とエロスの接点を目撃して、その時に男に一目惚れするというのがいい。
それから、前妻の部屋と思った場所が自分の部屋だと気づく所も好きな場面。
殺人現場の部屋をめぐる場面はややあっさりしてしまった感があり、もっと見たかった。
フリッツラングおなじみの地下裁判シーンもよかった。

今週末、谷中あたりの不忍通りで、一箱古本市というのがあるらしいので行ければ行きたいのだけど、加藤泰特集もあるしホルストヤンセン展もあるし行き詰まっているシナリオ進めたいし・・・