「顔のない眼」見直す。仮面をかぶった主人公が一人、言葉を発することもなくさまよう終盤、仮面のために無表情なのだけど、それによってかえって画面からただよってくる。小鳥を肩に乗せて林を歩く場面。

ヒッチコックの「レベッカ」を見直す。シナリオがよくないと思う。映画に置き換えるにはどこかを大きく削るべきだったと思う。原作を忠実に映画化した結果、映画としては面白くない場面が増えて、間延びしたようだった。それでもレベッカの主観が映像化されている演出はさすがと思う。

「首」はすごかった。小林桂樹がうわごとのように「腐ってしまう。早くしないと腐ってしまう」と言うところ。妄執。
最後の首の陳列された研究室が燃え上がる場面もストーリーとは離れて、映画が瓶の中の首を欲望しているようだった。

「剣鬼」はスペクタクルとして申し分なく市川雷蔵の魅力が溢れていた。歩き方、背中のシルエット、表情、声、殺陣、全てがいいのだけど、暗い宿命のドラマとしては物足りなかった。
「花の吉原百人斬り」を思い出し、内田吐夢監督であればまた全然違う「剣鬼」になったろうと思う。それも見てみたかった。
つまり妖剣が妖しく光る所が見たかったのだ。

中川信夫監督の『牡丹燈籠』、素晴らしかった。
原作の、幽霊との恋愛はそこそこに、ひたすら悪党たちの欲得の世界を追っておいて、最後にぽっかりと死(者)の世界が口を開ける。「怪談累ヶ渕」とかなり近い。
機械仕掛けのように欲と陰謀と因果が重なり合い、最後には虚無だけが待っている。
金井由美のピントが開放なのか、ソフトフォーカスか、御簾を通したようなアップが妖しい。
小さなセットを使い切っている。