20060430

ブロークンフラワーズ(ジムジャームッシュ)は、いつも通りの面白さと物足りなさ。
デッドマン、ゴーストドッグから連なる、死の手前の人間の話で、年老いて、人生が虚しくなっているドンファンというのは、ジムジャームッシュ自身が投影されてるのではないかと勝手に想像しながら見たが、物足りなさが残った。間の取り方、編集によるテンポの作り方、音楽など名人の芸を見るようで面白いのだけど、ドラマの一歩手前で踏みとどまる。最後に会ったティルダとのやり取りがもっと見たかったし、若い娘を1回くらいは口説いてみて欲しかった。
老境とセックスというので、フライシャーのラストラン!のことを思い、あの苦々しさ、虚しさに、あと一歩でいいので、近づいて欲しかった。
アメリカの幸福追求の結末を見て回るということでは、二人目の、建売高級プレハブのパートは面白かった。建物と同じ、偽物のような料理。
旅立つ前の夜、1人でシャンペンを飲みながらマービンゲイの曲を流す、取り戻し得ない情熱を取り戻そうとするけど虚しいカットに映画のテーマは集約されているようだった。
シャロンストーンとの場面は良かった。ジェシカラングのパートは長い割に物足りない。最後の、若者との対話をスリリングに持っていく運びかたがうまいと思う。音楽最高。

傷だらけの天使の第5話、6話を見る。第5話は工藤栄一監督で、ヤマ場の迫力はさすがだが、全体的には割とぐだぐだしている。第6話の神代辰巳監督の方は、第4話同様素晴らしかった。紙飛行機から始まり、おんぶ→肩車→おんぶ、自転車、乳母車と、乗り物が滑走し続ける躍動感に貫かれている。第4話同様、ホモセクシャル的な関係を皮肉る、物語の基本の人間関係に対する揶揄も多く含まれている。