だいぶ前、写真展をやったことのあるギャラリーから、毎週、写真展お知らせのダイレクトメールが届く。帰宅し、ポストに溜まったチラシの束を捨てようと手に取った下に一枚、そのお知らせの葉書が残っていた。チラシと一緒にごみ箱に投げ入れる前にちらと見ると、印刷されていたのは夕方の街を歩いている女性のスナップ写真で、それがどう見ても、10年近く前に自分の過失によって別れた、今どうしているか知らず、ずっと気にかかっていた人で、その人が、いきなり撮影されたらしく、確かに十年を経たその顔で、こちらを少し睨むように見つめている。
写真展には行かなかった。多分、もう終わっていたと思う。