ノーマンブラウン「ラヴズ・ボディ」をぱらぱら見る。
「この洞窟は墓である。この子宮は墓穴である。われわれはまだ生まれていない。われわれは死んだままである。まだ生まれていない子供たちの魂は死んだ祖先たちの魂である。こうした考えの根底には、化身の観念がある。」
女体から子供が生まれ出ることは、死者が冥界から生者の世界に戻ってくることと同一になる。
「西みがき」で、ゆきこの家の地下室=洞窟は子宮および膣であり、同時に冥界と現世の境界でもあった。
世界またはゆきこの家は女体と同一になり、地下室とリビングを隔てる床に耳を当てることは、妊婦の腹に耳を当てることと同じ身振りになる。家の内部は胎内であり、その室内で首を絞めて殺すことは交接と同一で、その時、子宮(地下室の壷)の向こう側の冥界から、死者が甦る。
ゆきこはあの世とこの世の通路を開き、イシスのように死者のばらばらの身体を拾い集め、オルフェウスイザナギのように、この世に連れ帰ろうとする。