授業で、昨年の高等科の「ちえみちゃんとこっくんぱっちょ」を見る。
見るの2度目だが、シナリオも映画も端正で繊細で、うまいなあと感心する。エッセイのような日常のスケッチのような、身近な人についての、女の人のおしゃべりを映画で見ているような感じのリアリティがある。
音が良くて、北国の、雪が音を吸ったような、しんとした空気の感じが伝わってくる。
主人公が魅力的で、自分は主人公を「青森の女の人」、というふうに見て、寡黙で我慢強くて、痛みに強いんだ、と一つ一つの言動にそれらが示されるのに感心しながら見ていた。青森は関係ないかもしれないが、イメージされる東北の人と近いので、そう見えてくる。
数人の人物がややステレオタイプに見えたのと、感覚の問題だが、ギャグで今1つ笑えなかったのが残念だった。
自然に見えることと、フィクション映画との関係について、演出の目指すところ、演出のさじ加減について、考えさせられる。答えはないのだが。
エリックロメールやホウシャオシェンなどについて考える。