LOFT(黒沢清監督)、十兵衛暗殺剣(倉田準二監督)、血槍富士(内田吐夢監督)を見た。
LOFTには唖然とした。ドラマや感情がベースにありながら、それを拒否するというようで、多くのニューロティックなホラーを想起するのだが、それにとどまるのは嫌だというように、映画が進んで行く。複数の監視カメラの映像を適当につないだようなつなぎ(特に序盤)には馴染めない。もう一度見たい。
十兵衛暗殺剣は美しく、湖賊というのが異界の種族のようで、水中撮影が魅力的だが、ドラマがないために退屈してしまう。湖賊の女首領や河原崎長一郎がドラマに役目を果たしていないのはつらい。
血槍富士は終盤が素晴らしかった。そこまではかなり漫然としている。鬼に変身する片岡千恵蔵。いったん戦いが終わって、一人生き残っているのにとどめを刺すのが、鬼の凄みを出していて素晴らしい。主君に取りすがって泣いていると肩を叩かれ、振り返ると囲まれているところもよかった。