家でシェルタリング・スカイとマリアブラウンの結婚を見て、夜、新文芸座でライフイズミラクル。

シェルタリングスカイやっぱり駄目だった。肝心な所が抜けててどうでもいい所ばかり見せられてる気持ちになる。
風景が観光映像。エモーションを伝えない。紋切り型の異国情緒。
女に感情移入できず、かといって皮肉が効いてるわけでもない。なんで感情移入できないかといえば彼女の感情やキャラクターが見えないから。女が夫の看病に必死な所見せられても、それまでの流れとつながってこないから、意味が伝わって来ない。自分勝手な女にしか見えない。それで死んだ後、さっさと砂漠で拾われるシーンに行くけど、その過程をゆっくり見せるほうが大事なんじゃないかと思う。男に拾われて、家で軟禁されて、男が旅している間に追い出される所も、面白い所だと思うのに、おざなりでがっかりする。原稿をぎざぎざちょん切ってだけじゃつまらない。
マルコビッチが熱にうなされながら音楽を演奏させる所、寝たままチップ渡し、彼らのやり方で手を叩く所はよかった。
夫婦がカフェで喧嘩しているのを客たちが見ていて、夫婦喧嘩だけど、客達と夫の目線が切り替えされる所はよかった。
ターナーが担っている役割がよくわからず、ターナーと女の浮気シーンはくだらなくて呆れるしかない。呆れさせるなら笑わせてほしい。
女にとって夫、ターナー、アフリカの男(他者)がそれぞれどういう意味をもっていたのかわからない。女が変転していくのも、どこがポイントなのかわからない。変転していくものは西洋的自我なのか、女性性なのか、愛を求める心なのか、不明。

マリアブラウンの日記はなぜ女が結婚にこだわるのかがよくわからない所が面白い。動機はわからないが、行動が証明する。アップで人物が振り返るカットがやたらと多い。全面的に演劇的で人工的であざとくて過剰で変で、面白い。
列車の一等室で社長をひっかける所がよかった。最初と最後の爆発シーンのコントみたいな安っぽさも面白い。

ライフイズミラクルはすごくよかった。遅くなったけど劇場で見てよかった。クストリツァはアンダーグラウンドが一番駄目でその後よくなっていると思う。アンダーグラウンドは全てが風刺に回収される所がつまらなかった。アンダーグラウンド前は語り方がぎくしゃくしてて、それはそれで良かった。アンダーグラウンド後は語り方が洗練されつつ、象徴とか隠喩とかから自由になって、エモーションそのものを伝えるようになっていると思う。エモーションを伝えるための演出とリズム。キャラクターとエモーションと小道具が映画を動かしている。昔は哀愁のシーンは哀愁がどんと来ていたけど、近作は、悲しいのもリズムの中に入れこんでしまっていていいと思う。
サッカーのシーン、リアルなサッカーではなくて、シュワンクマイエルが作ったような、イメージとしてのサッカーになっている。