「本番レズ 恥ずかしい体位」と「カナリア」見た。

 「本番レズ」はシンプルなストーリーで一組のカップルの関係の変化が描かれる。1人が語る天使軍と悪魔軍の闘いという妄想が変化の軸になっている。天使を示す三つのほくろ。ラスト10分が美しい。展望台で二人が両手を挙げるカット。

 「害虫」が「西鶴一代女」だったように「カナリア」は「山椒太夫」だった。ただし母親と再会はできず、妹は救われる。兄1人で救うことはできない。
 見ていて疑問を感じるセリフや展開、説明的過ぎると感じられる部分も多々あるのだが、それらがテーマにつながっているので乗り切れる。
 細かな違和感。冒頭小学校で短距離走のスタートダッシュ
 車が横転して二人が出会うところ。状況的に主人公は逃げるんじゃないかな。
 西島秀俊たちと偶然出会う所。偶然でなくしてほしかった。
 折り紙折る所。井上雪子への思いからか、ドキュメンタリー的になっていて、やけに長く感じる。是枝のよう。
 バットでフロントガラス割った後二人が叩き合うところ。まず逃げないか。 
 妹との再会。妹の反応にもう少し何かあったほうがいい。
 相変わらず全てのカットが的確という印象を受ける。冒頭の小学校でドライバーと運動靴を見つけ走り出すシーンなども、あまりに的確で必要な情報のみでできている感じがする。それが用の美?、機能美?につながるか、記号だけでできすぎてしまって余剰の面白さが消えてしまうのか。
 車内のシーンが多く、車外の風景が印象的で、場面によって工夫されている。レズビアンカップルと乗る時は霧でほとんど車外が見えない。多分ここでは本当には運転していない。人の姿の見えない後部の窓と、聞こえてくる歌。とてもいいシーンだが、レズビアンカップルの挿話全体が少しづつすべっているために、十分に生かされなかった。
 「害虫」のラストと同じシーンが繰り返されるが、今度は少女は救われる。
 最後、髪の色変わるのはやりすぎに思う。最後の台詞で十分だと思うのだが。ちょっとロールプレイングゲームのように感じてしまう。ロールプレイングゲームのような感じは、全体的に感じた。なぜかな。話がスムーズに進みすぎる?