「マイボディガード」と「アンソニーのハッピー・モーテル」と「天国までの100マイル」。
死の谷95’」は物足りない第一印象。弟と嫂の再会場面がもっと読みたかった。他の人間関係ももう少し突っ込んで欲しかった。エロスも足りない。最後の手紙はいいが、無理やり持っていったように見えてしまう。文体は好きなのだが。
団地ともお」と「小雨ちゃん」。「小雨ちゃん」は最初の作品集ということだが、すでに完成されている。感情が一人のものであること、ささやかなコミュニケーションと根本的に人が一人であるという、当たり前のこと。
「天国までの100マイル」は田中陽造脚本だが、厳しかった。一つ一つのエピソードが退屈でしかない。ロードムービーにもなっていない。
「アンソニーのハッピー・モーテル」ビリーのキャラが金持ちの友達が嫌な感じのお兄さんに馬鹿にされてるのに大好きだったり、三人組で微妙に仲間はずれにされてたりとかで、面白いはずなのだが、面白くない。ジェイムスカーンが空手の達人なのは面白かった。
「マイボディガード」デンゼルワシントンが甦って、超人になる瞬間が見られなかったのが残念。許されざる者で酒を飲む瞬間のような。最後、自分で自分の命を絶たないのは、殉教者として正しいと思う。ダコタファニングは「宇宙戦争」同様、場面によって母親、聖母やおばあさんや成熟した女に見える。全体として雑な所があり、一度自殺を試みるが失敗する所がうまく話全体につながっていないのと、メキシコの煉獄感や、街中を敵に回している感じがでていないし、デンゼルワシントンが復讐の鬼というようにあまり見えない。冷静さが怖ろしさにつながっていない。しかし昔のアクション映画のような荒涼感はあってそこはよかった。デンゼルワシントンがハンサムすぎたか。クリストファーウォーケンの、画面に映った瞬間に狂ってる感はすばらしいので、もっと絡んで欲しかった。過去をはっきり明かさないのはいいと思うが、デンゼルワシントンの代弁者として語ることはもっとあってよかったし、デンゼルとの関係のありようももっと何かあってよかったと思う。「コラテラル」のほうが好きなのは、抜き差しならない二人の関係が存在するからだと思う。デンゼルワシントンとダコタファニングの関係をもっと突き詰めてほしかった。