夏の庭 田中陽造脚本

合成の庭と本物の庭を使い分けていて、庭の大きさが変化するのが面白い。
プールのシーン(水中に沈んだ関取を先生が助けるカット)がよい。
死体を前に三人が泣くシーン、告別式、葬式のシーンが長い。
古井戸の寓意はやや物足りない。もう少しエピソードが欲しい。

セーラー服と機関銃 田中陽造脚本
薬師丸ひろ子のキャラクターが不明で、言動もとんちんかん。彼女は平凡だが気の強い、うぶな女子高校生なのか、それともただのエキセントリックな人なのか。学校に男友達しかいないのは、彼女のキャラクターを示す意味で大事だと思うのだが、よくわからない。
死んだ父、その父の裏側の顔、が彼女にとってどういう意味を持っているのか。娘であり恋人であり母でもあった、と自ら語る父を失った彼女の内面と成長が事件の中で語り損なわれている。
重要なはずの渡瀬恒彦と風祭ゆきの意味、風祭ゆきと三國連太郎の父娘関係が彼女にとってどういう役割を果たすのか、わからない。三國のショッカーのアジトみたいなシーンは面白かったけど。
似たテーマの「雪の断章」のほうがはるかによい。

グロヅカ/西山洋市監督
「開かずの間」はどうしちゃったのだろう・・・クロツカと彼女たちが互いに入れ子構造になっているのは狙っているのだろうから、当然あの山荘に開かずの間がないといけないと思うのだけど。
姉と妹の関係が重要なはずだが最後までよくわからなかった。姉が妹を、入ってはいけない世界に引き込んだということなのだろうし、二人の間に深い愛憎関係があるということなのだろうが、そこがうまく出ていなかった。姉と同性愛にあると疑われた女の関係もどうだったのかわからず、わからせないことを意図したようでもなく、ただ思わせぶりなだけで映画の内容につながってこない。
三人が毛布をかぶって校歌を歌うシーンはよかった。
「あなたを食べちゃう」というのはよかった。
映画のリズムが、自分が見た他の西山監督の作品と同じで、気持ちが良い。カットが変わった次のシーンの始まりが唐突で、不条理な感覚を呼び込む。音楽が途中で切れるのも気持ちが良い。
「INAZUMA」が本当に素晴らしかったので今後も見続けます。