パリところどころ
サンドニ街」二人のキャラクターは面白いが、漫然としてめりはり、変化がなく、一度見せれば十分の、おじいさんの肖像写真で押し過ぎなのとおちがつまらない。アイデアが足りなかったか。
「北駅」断然良かった。完璧な短編映画と思う。無駄がなく、長廻しのカメラは素晴らしく、会話は完璧で、構成は美しい。女優も自殺する男もよかった。
「サンジェルマン・デ・プレ」短編では中途半端で物足りない割に冒頭は長い。長編向きの話。膨らませたものを長編で見たい。
「エトワール広場」良かった。走りっぷりがおかしい。怪しい男も本当に怪しいし、倒れている様もおかしい。傘を凶器にする女のモンタージュも楽しかった。日常の偶然が積み重なってエピソードになる語り方はうまいなあ、と思い、ロメール十八番という感じ。
「モンパルナスとルヴァロワ」話はそこそこだけど女の子の映しかたがいいなあ、と。セーター脱ぐとことか、追い出されてオブジェ蹴るとことか、走る後ろ姿とか、はすっぱな女の仕草がとにかくかわいい。
「ラ・ミュエット」メイドのキャラクターはいいのだけど、少年の痛みが感じられない。両親は下品なだけで、話もただ陰惨なだけ。変化がない図式だけの映画という印象。耳栓でサイレントというのはまあまあだけど、それだけでは。オチもつまらない。