残菊物語/溝口健二監督。シネスイッチ銀座
妻の臨終と芸道の昇華というラストは「王将」を思い出す。地方で一世一代の大舞台に出るところで、妻が神仏に祈る場面なども。しかしこのシーンの後、どうも話がもたつく気がする。はしょれるのではないかと思える所や、無駄な会話が増え、そこまでが無駄なかったので、ちょっと変な感じがした。
妻を捜すシーンが2回、2回とも同じ形式の横移動。良かった。
会話で、聞いてるほうにリアクションがなく、固まっている場面が多いのは、歌舞伎役者が出ているが故の狙った形式性なのか、単に時間がなかったのかわからない。
突然父親が、二人の仲を許す、と言うところが、あまりにもご都合主義的で、ご都合主義は嫌いではないのだけど、あまりにも工夫なくそう見えるのは、逆にその権力のありようをまざまざと見せるためなのか。ちょっとカフカのようだった。
最後の船乗込み、美しい。