ツィゴイネルワイゼン鈴木清順
見るのは4回目くらい。中年男の藤田敏八が獣のような友人を引き金にして見る性的妄想と死のオブセッションの反映としての世界。藤田敏八の無表情がすごくいい。内面は映画として現れ、藤田敏八はその前で戸惑うのみ。内田百けんの原作の怪談・奇談らしさは十分に出ている。よくわからない感じ、因果関係のあいまいさ、それらについての説明はない。それが良さであり、ドラマとしての物足りなさでもある。しかし怪談の魅力はドラマになる手前の、因果関係のあいまいさが引き起こす怖さであるので、ドラマとして物足りないのは仕方ない。映画全体が百物語というか、怪談話の集まりのようになっている。義妹が死と生、現実と幻想の世界を行き来する巫女の役割を果たしている。

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