2005-01-01から1年間の記事一覧

夏の庭 田中陽造脚本

合成の庭と本物の庭を使い分けていて、庭の大きさが変化するのが面白い。 プールのシーン(水中に沈んだ関取を先生が助けるカット)がよい。 死体を前に三人が泣くシーン、告別式、葬式のシーンが長い。 古井戸の寓意はやや物足りない。もう少しエピソードが…

2005-10-22

日本怪奇小説傑作集1・2(創元推理文庫) 特に印象に残ったもの 大佛次郎 「銀簪」(1) 山本周五郎 「その木戸を通って」(2) 幻の女もの。一筋縄でいかないあいまいさがあり、それは例えば主人公の上司の言動の書き方なのだが、それがストーリーその…

田中陽造 心の底で望み、かつ恐れていること、心の中ではリアルであるが、リアルすぎて現実には起こりえないだろうと思うこと、または本人自身が抑圧していた欲望の現実化、それが起こる。ヒッチコックの映画を見るといつもそれを感じる。田中陽造の脚本のい…

2005-10-16

家で雪の断章ー情熱ー 田中陽造脚本、相米慎二監督 田中陽造らしい話、と言っても原作があるのだし、原作を読んでいないので比較もできないのだけれど。 基本の三角関係があり、それに付随して複数の三角が存在するのは「ツィゴイネルワイゼン」「陽炎座」と…

2005-10-15

世界/ジャ・ジャンクー 映画の主眼は北京と世界公園の風景を映すことにあるらしい。まがい物の世界と、その外の本物の北京の残酷さ。ひたすらその比喩が映像として映され、ストーリーは緩く、スケッチのように北京と公園での日々が語られる。その緩さは風景…

黄色い雨/フリオ・リャマサーレス(木村榮一訳) 「・・・しばらくして、私は理解した。どのようなものも以前と同じではない、思い出といっても、しょせん思い出そのものの震える反映でしかないのだ、また、霧と荒廃の中に消え去った記憶を守ろうとするのは…

完成した4本の映画の講評。黒沢清監督が来て下さったが、映画自体の感想は避けておられた。やはり面と向かって罵倒はしないか。 「4本の映画が死に近づきながら、なぜ誰も死なないのか」という問い。 死、モラル、葛藤の手前を引き延して見せるより、殺し…